設備安全のためのリスク管理


化学物質を取り扱う設備は、操業稼動を続けている以上絶対安全ということはありません。加えて、老朽化や腐食の進行など設備的にもリスクの高まる方向に動いています。それ故、操業設備の日常管理としては、それぞれの設備について現状でのリスクを評価し、その結果をパレート的にまとめ、計画的な投資によって、リスクの高い設備から逐次補修・改善を行います。

 

すなわち、図17に示すように、被害の大きさを横軸に、発生頻度を縦軸にとった分布図でそれぞれのリスクの評価結果を表します。この分布図上に、管理レベルの境界線を引き、境界を超えるリスクに対して対策をとります。ただし、人命尊重の立場から、起こった場合人に対して甚大な被害を及ぼす危険性のあるリスクに対しては、例え発生する確率が低くても第一優先として対応策をとります。また、起こった場合の被害が小さくとも、高い確率で起こると予想される事故に対しては、安定な操業の確保の視点から対策をとる場合もあります。また、事業所によっては、小規模な事故でも周辺住民の反発を受けるため、過剰なまでの対策を講じなければならないこともあるでしょう。

 

管理レベルの境界線を何処に引くかは、もちろん、それぞれの企業の置かれた立場やポリシーによって異なるとともに、時と場合によっても違ってきます。

図17 リスク管理図