暴露評価


「リスクアセスメントは暴露アセスメント」と言われるくらい、リスク評価では暴露評価が重要な位置を占めています。何故なら、例えば極めて毒性の強い(ハザードの大きい)化学物質でも、その管理を厳重にして、リスク対象への暴露を極力抑え込めれば、安全が確保された状態と言えます。単に危険なものを遠ざけるのではなく、危険なものを安全な状態に管理することこそがリスク管理の神髄です。
 しかしながら、この暴露量を決めることはそれほど簡単なことではありません。一般論としては「暴露量はモニタリングで直接測れば良い」とされていますが、小さな部分からサンプリングしたものが全体を代表しているとは必ずしも言えず、たとえ測定の点数を増やし統計的な手法を駆使して補正したとしても、その時々の瞬時の状態は捉えられるかもしれませんが、その測定値を以て長期的な状態を推定するには無理な場合もあり、このような場合には、実測値よりはむしろ理論的な計算値の方がより適切であると言えます。

発生源から、環境を経由して評価の対象としているリスク対象が暴露される"場"まで辿り着く経路中での、その化学物質の濃度変化は、フガシチーを用いた拡散方程式でかなり良い精度で推定できます。もちろん、途中での光や水、微生物による分解や、生体濃縮などの状況は「環境フェイト」と呼ばれ、モデル実験により事前に求められ、その結果により適切な補正を施すことができます。

暴露評価の方法はヒト健康影響と環境影響で異なっています。それぞれの方法については次節以降で説明します。